話の内容を体系的に理解できない悩み
私は自分の頭脳に自信がありません。例えば、商談をしていると、ちょっと前に何を喋ったのか覚えていないことがあります。また、商談内容を、ぼやっとしたイメージでしかインプットできず、きちんと体系的に理解することができません。その為、キーワードはなんとなく覚えていても、商談内容を上司に報告する時は、しどろもどろになってしまいます。これって何が問題なのだろうと、少し調べてみました。
ワーキングメモリの働きについて
脳、記憶力、IQ等について調べていくと、ワーキングメモリという言葉にたどり着きました。どうやら、ワーキングメモリが弱い方の特徴が私の状況に合致しているようです。このワーキングメモリについて調べてみました。
ワーキングメモリとは
ワーキングメモリとは、作業や動作に必要な情報を一時的に記憶・処理する能力のことです。そして脳の前頭葉を中心としたネットワークに関連し、思考と動作の制御に関わる実行機能のひとつです。
・電話で相手が話したことを理解する。
・会議に向けて膨大な資料を短時間で読み込み理解する。
・顧客の要望を理解・整理しながら、同時に回答をまとめること。
つまり、入ってきた情報を頭の中に記録し、その中でどの情報に対応すればよいかを整理し、不要なものは削除し、整理した情報に基づいた作業を効率的に実施するということでしょうか。「仕事ができる」、「頭がよい」といわれる人は、この能力が優れているのではないでしょうか?
ワーキングメモリは生まれつき能力なのか?
生まれつきの能力なのかを調べてみましたが明確なエビデンスが記載されている資料はありませんでした。しかしどうやら個人差はあるようです。また発達障害の方は、このワーキングメモリが低い傾向にあるようです。そしてこの能力が鍛えられる能力かどうかについては、諸説あり、明確には分かっておりません。
現在、ワーキングメモリを鍛えるゲームやアプリ、本が世に出回っておりますが、この類のものは、反復トレーニングをすることで、その作業に慣れ、ワーキングメモリへの負荷が減り、スコアがよくなっているだけかもしれないということです。
確かに、ワーキングメモリが鍛えられるようであれば、一般的な作業については、年齢が高くなるにつれて仕事効率・能力は上がっているはずですよね。。。
弱いワーキングメモリに対処する方法
ではどのように対処すればよいのでしょうか?鍛えられるのかわからないのにどうすればよいんだ!!(怒)と思いましたが、極力ワーキングメモリの無駄遣いをせずに、作業をしていくのに尽きるのではないかと思い始めました。いくつか参考になる内容を記載しました。
メモを取る
気になったことをメモをしないで記憶しようとすると、ワーキングメモリが圧迫されてしまいます。ですので、知った情報や状況を、頭の中からメモ帳に移せば、ワーキングメモリの残り容量を大きくすることできます。メモさえ取っておけば、忘れた情報は後で思い出すことが可能です。
また、仕事がうまくいくか不安だ、人間関係で心配事がある、といったように悩みや不安を抱えている場合、ワーキングメモリは不安で満たされた状態です。ワーキングメモリの容量が不安でいっぱいだと、目の前の仕事や勉強に集中することができませんね。 不安は紙に書き出し、ワーキングメモリから追い出してしまいましょう。ある実験では、心配事や感情的になった出来事について、被験者に数カ月間毎日書き出させた結果、不安が有意に減少したそうです。不安を紙に書き出してワーキングメモリから不安を取り除き、ワーキングメモリを解放してあげましょう。
整理整頓をする
散らかったデスクは情報が散乱しており、仕事がうまく進みません。また散らかったパソコンのデスクトップでは作業能率が下がることは、日々実感します。
学生の頃、勉強をする為に、よく図書館に行っていました。図書館の机は、勉強を妨げる誘惑、そもそも物が置いてないので、集中力が格段に高まったことを覚えています。
要は、ワーキングメモリへの負荷が最小限に抑えられるので、仕事や勉強に、多くのワーキングメモリを使うことができるということでしょうか?ワーキングメモリの無駄遣いを減らすためにも、脳内だけでなく、物理的・視覚的にもシンプルにしていくのが良いそうです。
有酸素運動と筋トレをする
有酸素運動がワーキングメモリによい影響を与えるという研究データがあるそうです。有酸素運動直後はワーキングメモリの働きが一時的に低下したものの、少し時間をおいて測ると、運動をしていないときに比べて向上することがわかっており、激しい有酸素運動を短時間行なうことで、このような研究データとなったそうです。
集中しなければならない仕事や勉強をする前に、階段の昇り降りをしたり、駈け足で移動をすることで、仕事のパフォーマンスが上がるかもしれません。
「スポーツなどの身体活動でより難しい課題に挑戦するほど、脳細胞の数が増えたり、増えた数を維持できる可能性が高くなったりすると報告している」と『Life Kinetik(R) 脳が活性化する世界最先端の方法 [ ホルスト・ルッツ ]』でも述べられています。
ほかにも、筋トレがワーキングメモリを高めるという研究結果もあるようです。大学の研究者らが、健康な高齢者(65~79歳)を対象に、週に2日の頻度でウエイトトレーニングを実施させたところ、実施前と比べてワーキングメモリの能力が上がったことが判明したそう。
ストレスを軽減する
脳は、ストレスを処理することに多くのメモリーを使うようです。ですので、ストレス度合が高いと、仕事に使うメモリが少なくなってしまう為、ワーキングメモリの処理能力が低下し、処理遅れやエラーが発生しやすくなります。
カリフォルニア大学で行われた研究によると、マインドフルネスの指導を受けた被験者グループと、そうでない指導を受けた被験者グループに対して、ワーキングメモリのテストを実施したところ、マインドフルネスの指導を受けた被験者グループの方の方がスコアが高かったという結果が出ているようです。(研究のやり方で結果が変わるような気もしますが。)
ストレスマネジメントが大事なのですね。ってこれが一番難しいのですが。ストレスマネジメントとワーキングメモリは密接にかかわりあっているようです。
知識・経験を増やす
ワーキングメモリに個人差があるのはどうしてでしょうか?生まれつきの能力差によるところが大きいと思いますが、その他にも、「同じような経験をして記憶しているかどうか」、つまり「理解をしようとしている対象に関する知識があるかどうか」についても重要かと思います。 数学でいうと、公式や問題パターンをたくさん知っている人は、その公式や過去に解いた問題に当てはめて考えることで、本質を早く理解することができるかと思います。
ゲーム・アプリ・本等で、盛んにワーキングメモリを鍛えることができるということが叫ばれてますが、サラリーマンを曲がりなりにも一生懸命、悩みながらやってきた上でいえる事。「ワーキングメモリは簡単に高めるはできない。」それより大切なことは「ワーキングメモリを鍛える」ことではなく、「ワーキングメモリへの負荷を減らす」ことではないかと思いました。
そういった意味で、一番の方法は、この知識・経験を体系的に記録に残し、記憶に蓄えて、新しい作業・処理が発生した時に、この知識・経験を活用できる状態にしておくこと、その知識・経験の数を増やし、幅を広げておくことではないでしょうか?
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